MENU

長崎の伝統野菜農家

2016.02.24 research

歴史を語る野菜 

長崎県の伝統野菜を作る中尾さんを訪ねました。伝統野菜は、その地域の風土や環境でしかうまく育たない希少な野菜です。長崎の品種は古く中国から伝来してきた種で、長崎赤カブ、赤大根、辻田白菜、唐人菜と中国系の冬野菜が主です。”種をまもる”ことが大切で何より大変なこの野菜、昔は当たり前のように他の農家でも作られ、中尾さんご自身も伝統野菜という意識は特になかったそうです。しかし、環境や食の欧米化から需要が減り、作り手も減りました。そこで代々伝統野菜を作ってきた中尾さんが地域でチームを作り、今はその作り手の人々と協力し、個人の注文から小学校の給食に伝統野菜を使用する取り組みを行っています。そうすることで他の地域や地元での伝統野菜の認知が広まり、その価値を知る人が増えているようです。特に長崎は貿易やキリスト教などの歴史的文化が多い地域です。”食”を通して知ることによってその地域の価値や歴史が繋がっていく素敵な食の活動だと思いました。また、今回学んだのが伝統野菜の”価値”についてですが、他の野菜と違い純粋な種を守る努力に繋がっていることがわかりました。各種類の野菜は他の種が混ざらないように小さな畑をいくつも作って、別々に作ります。また、種を取る時期は特に慎重に細かな網を張って他の種が入らないようにします。他にも病気にかかりやすいリスク、どうしても混ざってしまった苗は処分するなど、希少種ならでは苦労を現場で見てきました。しかし、手間ひまかけて純粋な種を守って育てるのが役目だと語る中尾さん。懸命さと次世代にこの地域の歴史を繋ごうとする志に感動しました。ぜひ冬の長崎に行ったら伝統野菜の味を食べて長崎のロマンを感じでほしいです。